動機
Leafony LTE-Mは、LTE-M通信や各種センサーを搭載しながら低消費電力で動かすことができる。
つまりWiFi環境のない屋外での使用に適している。
このLeafony LTE-Mを活用するにあたって、屋外で半永久的に使うには電源をどうするか、という課題に行き着いた。
まず手元に日清紡マイクロデバイス(旧 リコー電子デバイス)が開発したエナジーハーベスティング向けリーフ「EH01」に太陽光パネルをつなげ、LTE-Mに接続して起動するか試した。しかしLTE-Mは起動しなかった。「LTE-Mリーフ ハードウェア技術情報」のPDFに記載しているコネクタのピンアサインを確認したところ、3.3Vを入力できないことがわかった。
またLTE-Mには電源テストパッドがあり、ここに配線をつなげれば電源供給できると考えられるが、スマートではない。
そこで太陽光パネルのようなエナジーハーベストでえた電力をLTE-MのUSB Type C端子から電源供給できるようなオリジナルリーフを新たにつくることにした。
使用部品
部品表は下記の通りである。
「TPS61201」と「TPS61202」は0.3Vでも動作できる超低電圧DC-DCコンバーターである。
前者は3.3Vに昇圧、後者は5Vに昇圧する。
「TPS61200」という出力電圧を回路で調整できる素子もあるが、近年の半導体不足の影響か入手が困難であった。
部品名 |
型番 |
個数 |
備考 |
低電圧昇圧コンバーター |
TPS61201 |
1 |
3.3V出力 |
低電圧昇圧コンバーター |
TPS61202 |
1 |
5V出力 |
USB Type-Cコネクタ |
UJC-HP-3-SMT-TR |
1 |
電源供給用 |
表面実装スイッチ |
SSAJ120100 |
1 |
出力電圧切り替え用 |
表面実装端子台 |
SMD PCB TERMINAL BLOCK; 0.5 MM【2059-322/998-403】 |
1 |
|
抵抗 |
RK73Z1JTTD |
2 |
0Ω |
コンデンサ |
GRM21BB31H475KE51 |
2 |
4.7μF |
コンデンサ |
GRM21BR61E226ME44 |
2 |
22μF |
コンデンサ |
GRM21BR11H104KA01 |
2 |
0.1μF |
インダクタL1 |
DFE201210S-2R2M |
2 |
2.2μH |
太陽光パネル |
Panasonic AM-1820 |
1 |
|
手順
オリジナルリーフをつくるにあたって、公式ページ「自作リーフ開発」を参考にしながら、KiCAD 6で作成した。
回路図と動作
回路図は下記の通り。
各機能は
- 出力切り替え用スイッチ
- ターミナルブロック
- USB Type-C端子(メス)
- 5V出力の場合の出力端子。USBケーブルでLTE-Mへと電源供給。
3.3V出力の場合は、リーフの3.3V出力端子へ供給される。


つくってみた
基板をJLCPCBに発注したところ、約7日で製造枚数10枚で約28ドル(そのうち送料14ドル)で下記のように完成した。

これをLTE-Mに接続するとこうなる。

他のリーフをスタックすると下記のようになり、USB typeーC端子はスタックの邪魔にならない。

端子台が実装部品中ので一番背が高い。なので、他のリーフとあわせて使用する場合は、リーフを横並びに接続するためのコネクタリーフ「AX03 Leaf x2」を使うと良いだろう。

まとめ
今回、エナジーハーベストした低電圧を昇圧し、LTE-Mを電源供給できるオリジナルリーフを作成した。
標準のリーフのサイズは限られているため、発注元のデザインルールに従うと電子部品のレイアウトに難儀した。
しかし近年の半導体不足の影響か、低電圧昇圧コンバーターを発注したものの未だ届かない(注文時は在庫があったのに…なぜ…)。
部品が届き次第実装し、評価してみる予定だ。
このような電源供給基板と防水ケースをつくればより屋外での活用が広がるはずだ。