こちらは、KDDI協賛 Leafony応用コンテストの参加作品です。
目次
- 自己紹介
- 作品の概要
- 作品制作のきっかけ
- 従来の都市センシングの課題
- LTE-Mリーフの価値
- 取得したデータの展開
- 最後に
自己紹介
はじめまして、慶應義塾大学厳研究室の博士課程に在学しております中山俊と申します。
厳研究室は空間情報科学を専門として、GISを用いた都市解析を行っている研究室です。
今回は都市センシングへのトリリオンノードの応用事例についてご説明したいと思います。
作品の概要
作品を1分半程度の動画にまとめましたので、こちらをご覧いただければと思います。
作品制作のきっかけ
近年、夏になると、連日のように猛暑が報道されます。実際、この10年で、熱中症による死亡者は倍増しているといわれています。そんな中、研究対象地域としているたまプラーザ駅周辺にお住まいの住民の方から「地域の暑いところがリアルタイムに見れるようなものは作れないか」と言われたのがきっかけであります。暑すぎるところがマップで表示できれば、外出の時間帯をずらしたり、冷房をつける判断が可能になります。
従来の都市センシングの課題
都市環境の見える化は、環境問題への関心の高まりやスマートシティを支える基幹技術として日に日に重要性が高まっています。 トリリオンノードは電源供給問題という都市センシング上の重要課題を解決しており、今後の展開に非常に期待しているところです。弊研究室でもCO2リーフを独自に作成し、地域住民のご協力のもと、住民のご家庭に設置させていただいております。 しかし、トリリオンノードで採用されていた通信規格(我々の通信環境調査によると市街地において、LoRaは最大1㎞程度しか届きませんでした)には、どうしても地理的制約がありました。

LTE-Mの価値
そんな折に、KDDI様によってLTE-Mリーフが実用化されたことで、広範囲に都市センシングを行うことが可能になりました。トリリオンノードとLTE-Mリーフは、都市センシング上の重要な課題を解決する最高の組み合わせ、と期待しています。
取得したデータの展開
今回KDDI様からご提供いただいた3台のLTE-Mリーフを、弊研究室で開発したセンサと連動させて、たまプラーザ駅やたまプラーザ駅周辺の地元商店街に設置させていただきました。センシングで手に入れたリアルタイムデータは、いつでもウェブサイトで閲覧可能です。また、ここで得られた情報を単にウェブサイトにまとめるだけでなく、地域課題の解決の場でもあるリビングラボに「触れるGIS」を設置し、共創的解決を促す仕組みづくりを行いました。「触れるGIS」とは、センシングデータをリアルタイムに都市模型上に投影し、さまざまなシミュレーションするマシンです。従来、一部の技術者のみが扱っていたGIS(地理情報システム)によるシミュレーションを、直感的な操作を可能にすることで、住民が扱えるレベルまで簡便化させています。このマシンの機能の一つに、都市模型上の建物を屋上緑化させた場合の暑熱環境の変化を予測するシミュレーション機能が搭載されています。すでに本作品は東急株式会社と横浜市が共同運営するWISE Living Labに既に常設展示されており、すでにワークショップ等で住民、企業、行政の方にお使いいただいています。詳しくは動画をご覧ください。

最後に
様々な方々のご協力のもと、地域の暑熱環境を広範囲に調べることが実現できてまいりました。特に4年近くの月日をかけて地元住民や企業、行政と研究室は交流をしておきており、これを基盤とした厚い信頼関係のもとに成り立つプロジェクトであることを改めて感じました。また、技術協力を頂きました東京大学桜井研究室やKDDI株式会社に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。